(so002-001)
【 アナグマ さん(女性・40代)の場合】
 後輩の指導に悩んでいます。この4月に入社してきて、夏に私達の診療所に赴任してきました。診療の手技ができないのは仕方がないと思い、みんな丁寧に指導しているつもりですが、一度注意や指導したことを、何度も何度も同じ失敗をします。でも、メモを取ったり改善するつもりはなさそうです。
 診療所の雑用も、上司が言うまで全くやりません。目の前で上司がやっていてもです。ようやく雑用をし始めたかと思うと、やりっぱなしで後片付けもなく姿を消していたり、本や器具などを貸して、返ってきたこともありません。
目の前の一つのことにしか集中できないタイプなのかなと思いますが、片付けや借りたものを返すことなどは、私達上司がいちいち教えなければならないことなのでしょうか?
 そして、それらをすこし真面目に注意すると、泣くのです。。たぶん、怒られたことで頭がいっぱいになり、涙が出てしまい、注意の内容が頭に入っていないんだろうなと私たちは考えていますが…
 何度も同じ失敗をして注意すれば泣く部下に対して、どう指導したらよいでしょうか?同じような後輩を持っている方がいれば対策を教えていただきたいです。(2017-12-11)


(so002-002)
【 タヌキ さん(女性・40代)の場合】
 参考になるかどうかわかりませんが、私たちの職場の話をしようと思います。
 アナグマさんは、『新入社員』『発達障害』というキーワードで検索をされたことがありますか?
 遅刻、片づけられない、同じミスを繰り返す、メモを取らない、指示したことができない、注意すると我を通して非を認めない、農家さんに対して失礼な話し方や態度をするなどなど、、、1年半で数多くの初めてを経験しました。これまで経験してきた新入社員とどこかが違う、何かが違うと周りの誰もが感じながら、次第にみんな彼に対する言い方がきつくなったり、態度が冷たくなったりしていきました。
 結果的に1年半かかって、産業医から専門医を受診するように促してもらい、大人になってから発覚する発達障害であったことが判明しました。周りも本人も、納得しました。だからだったのか。。。と。周りも自分の指導が悪いからなのかとか、言い方が悪かったのかと自責していましたから、本人と一緒に周りも大変きつかったです。
 ケースバイケースですから、彼とどのように一緒に働く仲間として共に育っていけるかまだまだ模索中ですが、指示の出し方ひとつにしても、具体的に出すことが大切だとわかりました。
 俺がやってるようにやって。とか、背中をみて育って。ではなく、かなり具体的に指示を出すことが大切みたいです。不得意な分野を把握して、得意な分野の仕事をまずは育てていくようにしています。例えば彼の場合、農家さんの対応を一人ではさせないようにしています。
 アナグマさんのケースとは違うのかもしれませんが、ちょっと似てるかもと思ったものでお話ししました。
 あまりにもと感じられるようでしたら、メンタルヘルスラインケアの一環として産業医につないでもらい、産業医から専門医につないでもらって相談するのも、ご当人、アナグマさんたち周囲の人々にとって、いいかもしれませんね。(2017-12-13)



(so002-003)
【 しろぞろ さん(女性・40代)の場合】
 私は、この新人獣医さんの状況や気持ちが、ちょっとわかるんです。
 自分に似ているところがあるな~と思って…。うちの子も発達のでこぼこがありますし…。
 文面から読み取るに、ADHDとアスペルガーの混合型のようにお見受けします。
 ご本人が、自分の発達のでこぼこを知らなかったということは、ご両親も、お気づきでなかっただろうし、親や周囲の人間も適切な対応ができていなかったのではないでしょうか。
 きっと、小さい頃から社会人になった今まで、生活のあちこちで、周りとずれてしまったり、責められたり、いじめられたり、悩むことも多かったのではないかと思います。
 たくさんの「生きづらさ」を抱えながらも、くじけない意志を持って、立派に獣医師の資格が取れたことは、素晴らしいことです。この方が子ども時代に頑張っていた姿を思い描くと、なんか涙が出そうになります。そして、今、ご本人も職場の方々も、発達のでこぼこに気付いたことで、お互いに前進できるような気がするのです。この人は決してダメな人間ではないのですから。
 みんなと同じにできないのは、本人の努力や配慮が足りないからではなく、脳がそういう思考をしてしまうからなので、どんなに頑張っても、周りが期待するレベルを常に保つことは難しいでしょう。でも、練習と周囲の協力が得られれば、かなりの部分を補うことが期待できます。これから専門医とのカウンセリングでだんだん分かってくると思いますが、本人がどんなことに「困り感」を持っているのかを、よく聞き取って、どんなことを補助してもらえればできるのかを一緒に考えていけば、そして、協力してもらえることに感謝する気持ちが本人の心に芽生えれば、道が開けてくるような気がします。
 背が高かったり 鼻が低かったり、足が遅かったりという身体や身体能力の特徴は、目に見えるので、自分も周りも認識できますよね。身体と同じように、脳とその発達にも特徴があるのだけれど、目に見えないものだから、みんな、自分が標準だと思っちゃうし、自分の標準からかけ離れている人は理解し難いし、コミュニケーションがとりづらいから、「あいつはおかしい」と思っちゃう。いじめや排斥につながっていくかもしれない。
 臨床獣医師の仕事の中で、生産者さんとのコミュニケーションは絶対あるので、やりとりの上での失敗もあるかもしれない。本人も繰り返し練習が必要だろうし、先輩が一緒に行って、生産者さん側の理解も得られないでしょうか?すべての生産者さんが受け入れてくださるとは思いませんが、分かってくださる方もいらっしゃると思うのです。そこを新人さんに担当してもらって、周囲がフォローするとか…。本人も失敗を繰り返すことで、自己肯定感をもてなくなっていることが多いので、ひとつずつ、できること・行ける農家さんを増やしていくことは、大事だと思うのです。
 獣医師として働いて欲しいならば、みんなと同じペースで仕事ができなくても、どうか、責めないでください。興味のあることや得意なことには、並外れた能力を発揮するのが、この人だと思います。なにかキラリと光るものが見つかれば、それを伸ばすことができれば、診療所を大きく支えてくれる存在になるのかもしれません。
 発達のでこぼこを抱えた人は、6~10人に1人はいます。私達の職場にも、程度の差はあれ、思い当たる人がいるはずです。私自身もそうかもしれません。
 思いつくままに、長々と書きました。すみません。(2017-12-22)



(so002-004)
【 アナグマ さん(女性・40代)の場合】
 タヌキさん、しろぞろさん、レスありがとうございます。
 確かに、「発達障害」という見方があるな…と思えてきました。本人自身も、他人と同じようにできない自分に気づき始めているらしく、そうかもしれないと思っているところがあるそうです。仲の良い同僚に話していたと聞きました。過去に、そういう職員がいなかったわけではないのですが、やはり職場からやまわりから理解されず、孤立して退職してしまったパターンでした。私たちがもう少し理解があれば、退職まで追い込まれなかったのかもと反省しています。
 お二人のレス投稿をみてから、私も「見て覚えろ、やらなきゃいけないことの羅列」から、具体的な指導方法に変えてみました。〇時に出勤してくれば、△時までに①の仕事をする、終われば②の仕事をする、その次に③の仕事…と、仕事の優先順位を明確にする、やらなければならないことは、優先順位や締切りの近い順に箇条書きにして紙に書いて渡し、終われば消していってもらう…等です。そうすると、だいたいできていました。部下自身も努力しているのがわかりますし、仕事が明確になってスムーズに物事が見えるようです。
 専門家の診断がないので、私たちがその部下に対して勝手な判断はできませんが、発達障害は個性であり、得手不得手と同じで誰にでもあり、フツーのことだということに加え、私たちが専門家の指導を受けながらその部下と接していけたらいいなぁと思います。私達指導する立場側のちょっとした工夫で、お互いに仕事がしやすくなるなら、貴重な戦力を失わずにすみ、さらには診療所を支えてくれる力になるのだと改めて認識させられました。
 ありがとうございました!(2017-12-31)



(so002-005)
【 カラス さん(女性・30代)の場合】
 アナグマさん・しろぞうさん・タヌキさんへ
 投稿を読ませていただき、ほんとよかったと思います。まだまだ解決はしていませんが、問題を共有することは、できましたよね。私の父も今考えれば、一種の発達障害だったように思います。その言動に家族が振り回されましたが、当時はそうした知識がなかったので、ただオロオロとしていました。今は亡き父ですが、もし周囲がそうした観点で理解していたら、もう少し違った対応ができたように思います。職場も家族も、こうした場合は専門家のアドバイスが必要なこと、しみじみと感じました。(2018-01-03)



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